相続放棄と遺産分割協議の違い
2024/10/1
相続放棄とは、相続放棄をした人が、最初から相続人ではなかったことにするという手続きをいいます。相続放棄をした人は相続人ではないので、プラスの遺産もマイナスの遺産もどちらも相続しません。多額の借金がある場合等に相続放棄をすれば、何も相続できないけども、借金も返さなくてもいいということです。相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きをする必要があります。
一方、遺産分割とは、相続人全員が話し合って、プラスの遺産を具体的にどのように分けるかを決める手続きをいいます。マイナスの遺産は遺産分割の対象にはならないので、ある一人がプラスの遺産もマイナスの遺産も全部相続する、というような遺産分割協議をしていたとしても、お金を貸している債権者は、その遺産分割協議の内容に拘束されることなく、相続人全員に法定相続分に相当する金額等の返済を請求することができます。そして、請求された相続人は借金等を返済する義務があります。ただし、マイナスの遺産をどのようにするかについての協議は、相続人の間では有効ですので、いったん返済した相続人は、遺産分割協議で借金等を引き継ぐとした相続人に請求することができます。遺産分割協議は、相続放棄とは違って家庭裁判所で手続きする必要はありませんし、期限もありません。
相続放棄と遺産分割協議はこのような違いがあり、多額の借金がある等、その相続手続きに関わり合いになりたくないような場合は相続放棄、それ以外の場合には遺産分割協議をすることになります。
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