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曖昧な遺言はトラブルのもと(前編)

曖昧な遺言はトラブルのもと(前編)

カレンダー2025/03/7

遺言は、死後の財産の行方等について自ら決定できる制度です。遺言書に書かれた意思は、尊重されるべきものですが、効力が発生した時には本人がこの世にいないため、どのような思いで書いたのかを本人に確認することができません。曖昧な表現の遺言書が残された場合は、その内容をどのように解釈するのかが問題となります。

例えば、「私Aは、不動産を妻Bに譲る。妻Bが死亡した後は、当該不動産は弟Cに譲る。」という遺言書がある場合はどうなるのでしょうか。

この遺言書は一見、曖昧なところは無いように思えますが、最高裁は、この遺言を文言だけで解釈しようとすると、

「Aの真意とするところは、第一次遺贈の条項はBに対する単純遺贈であつて、 第二次遺贈の条項はAの単なる希望を述べたにすぎないと解する余地もないではないが、本件遺言書によるBに対する遺贈につき遺贈の目的の一部である本件不動産の所有権をCに対して移転すべき債務をBに負担させた負担付遺贈であると解するか、また、Cに対しては、B死亡時に本件不動産の所有権がBに存するときには、その時点において本件不動産の所有権がCに移転するとの趣旨の遺贈であると解するか、更には、Bは遺贈された本件不動産の処分を禁止され実質上は本件不動産に対する使用収益権を付与されたにすぎず、Cらに対するBの死亡を不確定期限とする遺贈であると解するか、の各余地も十分にありうるのである。」

と様々な解釈の余地があるとしました。

後編につづく

執筆者 司法書士 岩井將

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