〜相続した土地を放棄する制度の創設〜 相続土地国家帰属法とは
2021/10/29
この制度は、相続により取得した土地が管理されずに放置されることを防ぐため、一定の要件を満たす土地について、所有権を放棄して、国庫に帰属させることを可能とする制度で、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法)として、2023年に施行が予定されています。
今回は、この制度を利用するための要件についてご説明いたします。
要件は次の通りです。
・相続または遺贈(遺言により無償で譲ること)により取得された土地であること。
遺贈は相続人に対するものに限られます。売買や生前贈与によって取得された土地や、法人所有の土地は対象外です。(法人には相続の概念がありません)
ただし、共有土地の場合は、共有者の一人が相続等で取得すれば、他の共有者が相続等以外の原因で取得していた場合や法人の場合であっても、共有者全員が共同して行うときに限り、制度を利用することが可能です。
・次のような土地に該当しないこと
・建物が存在する
・担保権等の負担がある
・通路、その他の他人による使用が予定されている
・土壌汚染されている
・境界が不明確
・一定の基準の崖がある
・管理又は処分を阻害する工作物・車両・樹木等が地上にある
・地下に除去すべき有体物がある
・隣人等との間で争いがある
・その他、通常の管理または処分をするにあたり過分の費用または労力を要する
・法務大臣(法務局)の承認を得ること
相続等により土地を取得した方から法務局への承認申請が必要です。
・審査手数料等を納付すること
審査のために要する手数料の納付が必要です。また、法務大臣の承認を得た後は、管理に要する10年分の標準的な費用から算定される負担金の納付も必要です。
かなり厳しい要件ですが、今後、調整がされていくものと予想されます。
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