相続登記の義務化がもたらすもの
2022/01/12
相続登記の申請義務化が、令和6年4月1日からスタートすることになりました。
その目的と予想される影響についてお話しします。
これまで不動産の所有者が死亡して相続が開始しても、相続人は相続登記の申請義務を負っていませんでした。つまり、相続登記は登記を受けることによって利益を受ける相続人が、必要に応じて行えばよいということになっていました。
その結果、相続人に不動産を活用する意思が無かったり、資産価値が著しく低い不動産は、相続登記をするための費用が発生することや、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等や法定相続人全員の戸籍謄本等を収集することの煩わしさなどから、相続登記が放置されたままになってきました。
現在、長い期間相続登記がされずに放置されてきたことにより、所有者不明の土地の増加が社会問題になっています。
今回の相続登記の義務化によって、正当な理由のない申請漏れには、10万円以下の過料の罰則規定が法定されました。このことで、今後所有者不明土地の発生をどこまで予防できるかは、国民の問題意識の高まりと法律の運用にかかってくると思われます。
国民の問題意識という点では、この問題を周囲の人に迷惑をかけずに人生を終える「終活」の観点から捉えることもできると思います。
不動産所有者が自分の死後不動産の管理や承継先をあらかじめ決めておくことは、生前の相続対策としてとても重要なことです。
自らの意思で不動産の管理や承継先を決定する方法として、生前贈与、遺言、死因贈与、家族信託等の利用が考えられます。いずれも判断能力に問題がない時に決断し実行する必要があります。
相続登記の義務化が、自らの財産の管理や承継の問題を次の世代に先送りすることなく、元気なうちに対策を講じておくという機運に転じる契機になればよいと思います。
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