数次相続における遺産分割協議書作成の注意点
2026/03/3
被相続人が亡くなった後、その遺産について遺産分割協議が終わらないまま相続人の一人が死亡すると、「数次相続」が発生します。このような場合、遺産分割協議や遺産分割協議書の作成には、通常よりも慎重な対応が必要です。
数次相続が発生している場合、最初に亡くなった被相続人の遺産は未分割の状態にあります。そのため、後に死亡した相続人(以下「中間相続人」といいます)は、特定の財産を取得していたわけではありません。中間相続人は、「被相続人の遺産全体に対する相続分(相続人としての地位)」を有したまま死亡し、その地位がさらに次の相続人(以下「二次相続人」といいます)に承継されます。
数次相続が発生している場合の主な注意点は、以下のとおりです。
1.相続人の確定と遺産分割協議への参加者
被相続人の遺産について遺産分割協議を行うには、中間相続人の相続人である二次相続人を含め、相続人全員が参加しなければなりません。
相続人の一部を欠いた遺産分割協議は無効となるため、相続人を正確に把握することが極めて重要です。そのためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集し、相続関係に漏れや誤りがないかを慎重に確認する必要があります。
2.遺産分割協議書の記載方法
遺産分割協議書を作成する際は、**「誰の遺産についての分割であるか」**を明確に記載することが不可欠です。また、数次相続がある場合には、二次相続人の立場(肩書き)を正確に記載する必要があります。
単に相続人の氏名を列挙するのではなく、「〇年〇月〇日死亡した相続人〇〇の相続人(権利義務承継人)」といった形で、どの相続人の地位を承継して遺産分割協議に参加しているのかを明示してください。
この点が曖昧な遺産分割協議書では、法務局での相続登記が受理されないおそれがあるだけでなく、後日の紛争の原因となる可能性もあります。
執筆者 司法書士 岩井哲也
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